空き家の自治会費、町内会費は払う義務がある?普通は払うものなのか?

空き家の自治会費と町内会費は払う義務がある?

空き家にも自治会費や町内会費が発生する?


実家などを相続して空き家になった際、意外な出費として頭を悩ませるのが「自治会費(町内会費)」の扱いです。


空き家であっても自治会費を払い続けるべきなのか、また戸建てとマンションでの対応の違いや、管理義務や近隣トラブルなど、最新の法改正情報を交えて解説します。


空き家なのに町内会費を請求された時にどのような対応をすればいいのか?

結論から言えば、自治会への加入および会費の支払いは、法律上の義務ではなく「任意」です。


しかし、空き家を取り巻く環境は厳格化しており、以下の理由から「あえて支払いを継続する」選択をする所有者が増えています


「地域の目」による防犯・防災

2025年、空き家を狙った犯罪や不法投棄が社会問題化しています。自治会費を払い、近隣と良好な関係を保つことで、異変(窓ガラスの破損、不審者の侵入など)を早期に知らせてもらえる「見守り」の恩恵を受けられます。


ゴミ置き場・街灯の利用

自治会が管理するインフラ維持への協力として、加入はせずとも「維持費分」のみを支払うという折衷案をとるケースも一般的になっています。

【最重要】2025年4月施行:法改正による2つの大きな壁

2025年は、空き家管理のルールが劇的に変化する年です。


① 建築基準法の改正(4号特例の縮小)


2025年4月より、これまで「建築確認申請」が不要だった多くの木造2階建て住宅(旧4号建築物)でも、大規模なリフォームや修繕を行う際に厳格な審査が必要になります。


影響

放置して傷んだ空き家を「後で直して売ろう」と思っても、修繕コストが以前より跳ね上がり、工事の着工まで時間がかかるようになります。早めの決断が求められる理由です。


② 「管理不全空家」への課税強化


2023年施行の改正空家法が本格運用されています。窓が割れている、草木が越境しているといった「管理不全空家」に指定され、自治体からの勧告を受けると、土地の固定資産税の優遇(6分の1に軽減)が解除されます。


結果

税金が実質的に最大6倍に跳ね上がります。自治会との連携を絶ち、苦情を放置することは、この増税リスクを直撃させることにつながります。

空き家の年間維持費シミュレーション

物価高騰や人件費の上昇により、管理コストは上昇傾向にあります。


項目 年間費用の目安 備考
自治会費 3,000円 〜 12,000円 地域により異なる
固定資産税・都市計画税 10万円 〜 15万円 特定空家等に指定されると最大6倍
水道光熱費 2万円 〜 3万円 通水・通電を維持する場合(凍結防止等)
火災・地震保険料 2万円 〜 7万円 空き家専用プランは割高になる傾向
庭木の剪定・草刈り 5万円 〜 10万円 業者依頼の場合(年1〜2回)
合計 約20万円 〜 35万円


空き家を所有しているだけで年間平均20万〜35万円程度(毎月約1万〜3万円程度)の負担が生じるとされています。


空き家と近隣住民との関係


空き家と自治会費・町内会費の関係において、一番問題となるポイントは、「近隣住民との関係性が断たれることで、行政による『特定空家』や『管理不全空家』への指定リスクが劇的に高まること」です。


自治体が空き家を調査し、固定資産税が最大6倍になる「特定空家」などに指定する第一歩は、「所有者に苦情を言ってもらちが明かない」と判断した近隣住民が役所へ相談に行くことから始まります。


また、人の目がない空き家は犯罪の温床になりやすく、地域全体の資産価値を下げる要因となります。漏電や放火による火災、水道管の破裂など、所有者が気づけない緊急事態の早期発見は、近隣の協力なしには困難です。


空き家になっても支払う方が多いという背景には、こういった保険料のような気持ちも含まれていると考えられます。

管理が負担になった時の現実的な解決策

「遠方で管理に行けない」「自治会とのやり取りが苦痛」という場合は以下の2択が推奨されます。


空き家管理サービスの活用

月額5,000円〜1万円程度で、看板の設置、郵便物の整理、簡易清掃、自治会への代理報告などを行ってくれるサービスです。これにより「管理している姿勢」を対外的に示すことができ、増税リスクを回避できます。


早期の現状売却

建築コストの高騰により、買い手が「中古を買ってリノベーション」することを躊躇する場面も増えています。放置してさらに建物が劣化し、前述の「4号特例の縮小」の影響を受ける前に、現状のまま売却するという方法もあります。

マンションにおける自治会費の考え方

マンションの場合、戸建てとは異なる「仕組み」への理解が必要です。


「管理組合(強制加入)」と「自治会(任意加入)」は別物です。しかし、管理費と一括徴収されるケースも多く、慎重な対応が求められます。


支払うべきかどうかの判断基準


管理組合との一体化

規約で合算されている場合、分離して断るには管理組合との交渉が必要です。


将来の利用予定

将来住む、あるいは売却・賃貸に出す予定があるなら、良好な関係維持のため支払うのが得策です。


断る場合の注意点としては、 「一時的に不在である」ことを丁寧に説明し、角を立てない配慮が重要です。地域の防災サービスから除外される等の不利益も考慮しましょう。

納得感のない費用への向き合い方と防犯について

空き家管理において、古くから日本に根付く「村八分(地域社会からの排斥)」という言葉が象徴するように、地域住民との結びつきは心理的なハードルになりがちです。


住んでないにもかかわらず自治会費を支払うことに対して、納得が行かない場合は自治会長さんへ問い合わせるという事も1つの手です。


「納得感」に基づく自治会費の判断

空き家所有者は、居住者ほど地域の恩恵を直接受ける機会がありません。そのため、支払いに疑問を感じる場合は、会費がどのように使われ、空き家管理にどう寄与しているのか説明を求めてもよいでしょう。


また、支払いとともに近隣住民に見守りをお願いするという事も1つの手段です。


自治会費を支払わないことで懸念されるデメリットとして、地域での悪い評判やいたずら・不法投棄などといったトラブルは考えられます。


いずれその空き家に住む予定があるのであれば、ホームセキュリティの導入や防犯カメラなどの設置を行い、犯罪抑止につながるような計画をたてましょう。


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