日本は「地震列島」ともいわれるぐらい地震が多く発生する国であることはみなさんもご存知でしょう。
そんな状況であるからこそ、自分が管理している空き家に地震の被害が及んだ時、あなたにどのような負担がかかるのかあらかじめ確認しておくべきです。
そう考えると必然的に地震保険への加入を検討することになりますが、空き家を対象にして地震保険へ加入することができるのかを調べてみました。
実際に空き家の場合、地震保険に加入できるのかを確認してみます。
一般的には、個人が居住のために所有している建物であれば火災保険や地震保険に加入することができます。
それぞれ、「加入できるケース」と「加入できないケース」のうち代表的なケースについて詳しく解説します。
まず、空き家であっても人が居住できる状態になっている場合は地震保険に加入することが可能です。
地震保険に加入する際の「空き家」の考え方は少し複雑で、具体的には次のようなことを確認されます。
これらの部分については、保険に加入する時に審査があるので実際の状況を正しく説明しましょう。
保険会社が居住可能かどうかにこだわるのは、保険料に影響を及ぼす重要な要素だからです。
地震保険の保険料は、誰かが居住しているあるいは居住可能な住宅の場合は「住宅物件」、そうでない空き家の場合は「一般物件」となり、一般物件の場合は保険料が若干高めになるのです。
そのため、保険会社は空き家といえどもどのような状況にあるのかを確認するわけです。
一方、地震保険に加入できないケースは一般的に「居住できる状態でない」ことや、個人用途ではなく事業用途に使っている場合です。
居住できる状態でないとは、雨漏りがして人が暮らせない状況であったり、ガスや電気など生活するために必要なインフラが用意されていない状態を言います。
あと、事業用途に使っていないことも重要です。ここで言う事業は、賃貸物件として貸し出していたり、店舗や作業場所、民泊用の宿泊施設などとして使っている場合を指します。
ここで虚偽の申告をすることもできそうですが、実際には事業用途で空き家を使用していたことがばれると訴訟に発展する場合もあるので絶対にやめましょう。
空き家に対して地震保険をかける必要があるかといえば、私は「必要な場合もある」とお答えします。
例えば、その空き家を今後どのように活用するのかであったり、空き家そのものの利用価値がある場合は「財産」として考える必要があるからです。
そう考えると、財産の価値を守るために地震保険に加入することは必要不可欠だからです。
また、空き家が地震で被害を受けた時に第三者に与える損害がある場合はその補償のために地震保険に加入するべきです。
その他、次に解説するポイントについては十分考慮してから地震保険の加入を検討しましょう。
将来的に自分やその子孫が暮らすことができたり、賃貸物件として貸し出せる場合、あるいは売却することで利益が見込める空き家は「利用価値のある空き家」ですから、地震保険に加入するべきです。
実際、利用価値がある空き家はイコール財産と考えもいいのです。地震の被害を受けた結果空き家の価値がなくなった場合は、その損害を保険で補填して価値を維持するだけのメリットが十分にあるのです。
平成の世になって発生した地震を見てみると、阪神・淡路大震災や東日本大震災では家屋そのものが倒壊する事例も多くみられました。
倒壊して自分の財産を失うだけならいいものの、倒壊した結果周辺の民家を壊してしまうなど二次被害を与えてしまう可能性もあります。
特に、周辺の民家を壊してしまうなどの被害は訴訟に発展して、日ごろの空き家の管理体制の不備を追及されると「防げたはずの損害を放置していた」と判断され、賠償額が増加する可能性もあります。
日ごろから定期的に空き家の清掃や点検などができない場合は、まずそれらの回数を増やす努力をするとともに、万が一のリスクを考慮して地震保険に加入しておくべきです。
地震で被害を受けるのは空き家本体だけではありません。空き家に付随するブロック塀などの外構の被害も考慮すべきです。
ブロック塀が倒壊すると、当然隣家の建物に被害を与えますし、通行中の車両や人などを巻き込んでしまえばより補償額は増加してしまいます。
もちろん、それらの設備が劣化しているなど第三者の財産や生命に危険を与える可能性がある場合は速やかに対策を講じる必要があります。
地震保険の保険料は、空き家の面積や固定資産税における建物の評価額、室内にある家財道具などの価値を見て総合的に判断されます。
また、空き家の持ち主が考える価値を金額に換算して、万が一の時に自分たちが望むだけの補償がなされるように備えておくことも可能です。
実際には、保険会社のセールスマンと空き家の管理者がお互いに相談して折り合いをつけ、金額を設定することが一般的です。
平均的な地震保険の保険料は保険金額1,000万円あたり、非耐火構造の建物で11,000円から36,000円、耐火構造の建物で6,000円から23,000円程度になります。
保険料額がここまで格差があるのは地域によって地震のリスクがかなり違うからです。例えば静岡県は東海地震や南海トラフ地震のリスクがあるので保険料額が高めになりますが、奈良県や大阪府など今までに大きな地震が少ない地域では保険料額が安価になる場合もあります。
もちろん、保険料額は保険会社によってかなり異なります。金額を抑えることでその分顧客を確保しようとする損保会社の意図があるからです。
ちなみに、20119年1月時点で業界で最も安い地震保険である「SBI少額短期保険 地震補償保険リスタ」は、業界初の地震保険だけのタイプ(=火災保険がセットになっていない)の商品で、その保険料は月額1,210円から(補償金額上限・900万の場合)となっています。
地震保険の保険料は、加入時にどこまでの補償額を設定するから大きく変わります。空き家の価値と地震の財政的な負担を考慮しながら決定することをお勧めします。
また、保険会社によって保険料はかなり違いますから、保険料比較サイトなどで資料請求や見積もりを取得することもおすすめします。
以下のサイトは地震保険の内容は保険料を比較できる便利なサイトですので是非ご活用ください。
https://hokenselect.jp/rank/ins_quake.html
地震保険に入ったからもう安心、と考えるのは早計です。
何かあっても地震保険の適用をしてもらえるよう、適切な空き家の管理を心がけるなどなすべきことはたくさんあるものです。
まず、どのような場合に地震保険が適用されるのかを理解するところから始めておきましょう。
そもそも地震保険は、居住用の建物や家財が地震や火山の噴火、またはこれらによって引き起こされた津波によって損害を受けた時に保証してもらえる保険のことを言います。
火災保険に加入していたとしても、地震や噴火、津波による損害に保険金は支払われず、地震保険から支払われることになるため、「地震保険」と「火災保険」の両方から保険金を受け取ることはできません。
また、地震保険で補償してもらえる範囲を再確認しておきましょう。具体的には以下のような場合に保険金が支払われます。
このように、建物だけではなく家財道具や家電商品も補償されるので安心ですが、本当に壊れてしまって困るようなものは空き家から別の場所に移動させておくことをお勧めします。
逆に、以下のような場合は地震保険の補償の範囲とはなりません。
1件30万円以上の価値がある美術品や骨とう品は、すでに価値がありすぎて地震保険ではフォローできないと判断されます。そのようなものがある場合は別途動産保険など価値に応じて別の保険に加入しておく必要があります。
特に、自家用車が破損した場合は、地震保険での補償はできませんから、実際には車両単位で加入している自動車保険での対応となります。ですので、自動車保険の特約で「地震特約」を加えておくことをお勧めします。
また、第三者の地震保険等で自らが受けた損害を補填してもらえる場合、その補填額と実際の被害額を引いた残りの額だけが自らの地震保険で補填され、プラスにならないように調整されます。
それでは、空き家になったことを契機に地震保険に新規で加入する場合はどのように手続きをすればいいのかを解説します。
まず、地震保険を取り扱っているのは損害保険会社になりますので、希望する会社に連絡を取って加入の意思を伝えます。
すると、損保会社のセールスマンが実際の空き家を確認するために現地を訪問することになるので、空き家の管理者であるあなたが立ち会います。
その他、実際の空き家の管理状況や将来的な利用計画などの聞き取りがなされて、最終的に地震保険に加入できるかどうかを判断されます。
この時、地震保険単体で加入する保険はまだまだ少なく、火災保険とセットになった商品に加入するケースが多いです。
加入の可否は保険会社によって自社基準を用いて判断します。ですので、A社で断られた場合でもB社では加入を引き受けてもらえる場合も十分にあるので、すぐに加入をあきらめないようにしましょう。
もし正式に加入できることになれば、気になるのは保険に加入する名義人です。
一般的に地震保険の名義人はその建物を持っている所有者になるのですが、所有者が死亡していたり判断能力に欠ける状況である場合は、その直系親族であったり、「成年後見人」など法律的に権利を代理行使することのできる人間が契約者になることができます。
加入時には「どれくらいの補償が支払われるのか」の確認も必要ですが、保険によって様々な基準が設けられているので、加入時に必ず確認しておきましょう。
例えば、以下のような基準が設けられている場合が多いです。
保険金額は加入時に設定をすることができますが、高額設定をする分保険料も正比例して増加します。空き家の価値と自分自身が支払うことのできる金額のバランスを考えて決定することをお勧めします。
もし、地震保険に加入済みであった住宅が空き家になった場合はどうなるのでしょうか。
その場合でも、居住できる状況のまま管理されていれば地震保険に加入し続けることは可能です。
ただし、誰かが居住しているあるいはいつでも居住可能な住宅の場合は「住宅物件」、そうでない空き家の場合は「一般物件」となりますから、地震保険を継続することはできても一般物件扱いになって保険料が若干高めになります。
もちろん、空き家になったことで用途が変わったり居住のために必要なインフラが取り外され使用できない状態になった場合は、地震保険に加入することはできないと考えましょう。
地震保険の場合、実際にどのような状況で、どのような管理をしているかによって保険加入の可否や保険料額が設定されるため、場合によっては実際の空き家を前もって見せる必要が出てくるでしょう。その際には、空き家の管理者であるあなたが足を運ばなくてはならない場合も出てきます。
あと、地震保険に加入したままで保険料を支払い続けているものの、実際には空き家になっている住宅の場合、少々注意が必要です。
地震保険の保険料は、誰かが居住しているあるいは居住可能な住宅の場合「住宅物件」、そうでない空き家の場合は「一般物件」となりますが、一般物件であるにもかかわらず住宅物件として保険料を支払っていれば虚偽の申請とみなされて保険金はおりません。
また、保険加入者が亡くなっているのにそのままの状態にして置いた場合も、理由によっては虚偽の申請とみなされて保険金がおりない場合があります。
そもそもどんな保険でも契約者と保険会社がお互いに事実を確認したうえで契約するものであり、事情が変わればその都度変更を申し出るのが当然のことです。それを行っていないのであれば、保険金が出ないといわれても異議を申し立てるのは難しいでしょう。
いずれの場合であっても、まず変更が生じる事実について保険会社に伝えて必要な手続きを怠ってはなりません。
ここまで地震保険の加入を推奨する文章となっていますが、地震保険に加入する必要がない場合もあります。
ずばり「空き家に資産価値がない」場合には、あえて火災保険に加入する必要はありません。
その他、周辺に民家がないなど第三者に損害を与えてしまう可能性が極めて少ない場合も当然地震保険に加入する必要はありません。
また、近い将来に売却したり解体する予定がある場合も、もちろん地震保険に加入する必要はありません。
地震保険は空き家を管理する都合上、安心感を得るために加入する一面もありますから、そこまでの不安を感じていない場合は無理に保険に加入する必要はないかもしれません。
空き家に地震保険を掛けるかどうかは、正直言って悩むところです。将来的に空き家に誰かが住むのか、それとも解体するのか、用途が当面決まらないのかでは管理上どこまでお金を掛けるべきか判断に迷うこともあるからです。
ですが、こうして空き家の管理を続けている最中にも様々なリスクは生じるのですから、地震保険に加入して安心感を得ることも考えてよいかもしれません。
もし地震が発生し被害が出た時に、空き家周辺の住民に対して実害を与えてしまうようなことは今後の付き合いを考慮しても絶対に避けるべきし、損害を与えてしまっても何らかの補償を行うための対策は講じておくべきともいえます。
特に空き家は、毎日確認をできているとはいいがたい状況です。それに、普段の管理の中で地震に備えて何らかの確認や点検を行うことは極めて少ないですから、地震に対して備えが不十分な状況であることに気づかない場合もあります。
地震保険は、空き家の管理が定期に行われているかどうかも保険金支払いに大きく影響をもたらします。
保険に入っているから何かあっても賠償できると考えるのは早計であり、地震保険は「適切な管理を行っていたにも関わらず不慮の事故や天災で第三者に被害を与えてしまったこと」が成立しないと保険金が支払われないことだけは覚えておきましょう。
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