最近は想像を絶するような強風や竜巻が発生したり、台風といっても今まででは考えられないほどの強さで上陸してくるケースも多くなっています。
また、住宅街など隣接する民家との間で「隣人の家の屋根が越境している」などのトラブルも年々増加しています。
特に築年数が古い空き家の場合、様々な理由で屋根や屋根瓦のトラブルはいつでも起こりえると考えておく方がよいのです。
ここでは、空き家の屋根や屋根瓦に関するトラブルについて詳しく解説します。
もし、あなたの管理している空き家の屋根や屋根瓦が破損したことが分かった場合は、速やかに行動を起こしましょう。
特に、これから紹介することは必ず行うようにしましょう。
まず、隣家の住人に被害を確認して、屋根や屋根瓦が破損していた場合、その欠片がどこに行ったのかをまず気にするべきです。
空き家の敷地内に落ちていればいいのですが、隣家の住居を傷つけているようなことになっていれば大きな問題になります。
まず、ストレートに隣家の住人に「何かありませんでしたか」と尋ねる方がいいでしょう。あちらから怒ってこられるよりは親切さが伝わりますし、何もなかったとしても今後のお付き合いが円滑に進むことにもなりますので、ぜひ積極的にお伺いしましょう。
なお、空き家が損害賠償保険に加入している場合は保険会社に被害状況を手連絡して、隣家の住人との交渉を保険会社に依頼しておきましょう。
屋根や屋根瓦が破損している場合、そこから雨漏りが生じてしまう可能性もありますから、速やかにその部分の修繕を行うべきです。
放置しておくと、屋根全体の耐久性も落ちてしまうので、破損部分からどんどん劣化が進み、さらなる破損を引き起こす危険性もあるからです。
空き家のため根本的な修繕をすることをためらう場合もあるでしょうが、ブルーシートなどをかぶせて破損部分から雨漏りをするのを防ぐことは絶対に行いましょう。
空き家の屋根にまつわるトラブルにはどのようなものが考えられるでしょうか。
それがわかっていれば、台風の接近前に前もって対策を講じることもできますし、災害の後に速やかな対応にも着手しやすくなるでしょう。
事前の対策は、隣家に迷惑をかけるようなことも予防できることから、空き家をめぐるトラブルを回避することにもつながります。
それぞれのトラブルについて、その原因などを詳しく解説します。
雨漏りは屋根にとってだけではなく、空き家そのものにとって最も避けたいトラブルです。
雨漏りがすると主要な柱が湿気で腐食して耐久性が明らかに劣化しますし、腐食した部分にシロアリが繁殖してしまうと柱を食べつくしてしまい、空き家そのものが倒壊するリスクも高まります。
また、湿気はカビを生み出すため、空き家全体の衛生環境を悪化させることにもなり、将来的に誰かが再び住む場合の支障にもなりますし、賃貸物件や売却物件にしようとしても引き合いが少なくなる可能性もあります。
なお、雨漏りに関する情報は「空き家の雨漏りの応急処置と直す場合の費用の相場」にも詳しく掲載しています。
昨今、日本に接近してくる台風は非常に強い勢力の台風も多くなりました。
台風だけではなく、ゲリラ豪雨や激しい雷雨(=落雷)、突風を伴う竜巻なども年々増加していますが、これらの気象現象でも屋根などが破損する場合があります。
特に最近では竜巻による被害も多く発生しており、いきなりやってきた突風で屋根瓦どころか屋根全体が吹き飛ばされて天井板すら残らないこともあります。
台風の場合、進路予測である程度襲来する日時もわかるので事前の対策もできますが、ゲリラ豪雨や竜巻はいきなりやってくるので心構えをする暇もありません。
ですので、場合によっては専門業者や警備会社などのサービスを利用して何らかの予防策を講じてもらうことも必要になるかもしれません。
これは災害とは直接関係がありませんが、自らの敷地内に空き家の屋根が入り込んでいることに対して、隣家の住民が「屋根を切ってほしい」などと苦情を申し出てくるケースです。
あなたからすれば「なぜ今更?」と思うかもしれませんが、あなたの親世代同士は程よい人間関係を築いていて「お互い様」と思ってあえて越境について触れなかった可能性もあります。
世代が変わってしまえば、親世代のことなどさておいて権利を優先し「屋根を切ってほしい」と要求が始まる場合もあり得るのです。
法律上で言えば、あなたの家の一部である屋根が隣家の土地に越境している場合、土地の上空を占有することで「土地所有権」を侵害していることになります。
この場合、土地の所有者は越境している建築物の所有者(=あなた)に対し、越境している部分の撤去を求めることができます。
ですが、物理的に一部分を切り取って屋根を撤去できるような場合ばかりではなく、建物全体を解体しなくてはならない場合もあります。
ほんの数センチの越境を解消するために空き家全体を解体することになってしまえば、結果的に空き家を管理している人の負担が大きくなりすぎます。
その点、法律は空き家の管理者にやさしい部分もあります。例えば、ほんの数センチの越境を解消するためにはあまりにも金銭的負担が大きすぎると判断される場合、民法第1条第3項の「権利の濫用」とみなして、相手の請求を却下する場合もあります。
実際、相手の請求が権利濫用に当たるかは、越境された側がどの程度実害を被っているのかであったり、越境の程度、そもそもはみ出している部分の撤去が容易なのかなど、実情を考慮して判断されています。
なお、境界の越境に関しては以下のホームページで詳しく解説されているのでぜひ一度ご覧ください。
屋根には雨どいがあって、屋根にたまった水が雨どいを通じて地面に流れ込む仕組みになっています。
この雨どいに、枯葉や砂などが長年たまって蓄積してしまうとそこに水が流れなくなり、雨どいから雨水があふれ出してしまうことになります。
それだけならいいのですが、あふれ出した雨水が屋根の隙間などから室内に入り込んでしまうと、湿気の原因になってしまいます。
また、雨どいからあふれた雨水がそのまま滝のように流れてしまい、その流れが隣家の敷地内に注ぎ込むようになってしまえば当然苦情の原因にもなるでしょう。
湿気が空き家の室内にたまると、主要な柱や壁、天井板などが湿気で腐食してカビも発生します。
湿気で腐食した木材はいつしか崩れ落ちてしまうことになり、カビはどんどん繁殖して腐食のスピードを上げることになります。
将来的に住居用として空き家を再び使うのであれば、湿気は大敵ですし、湿気が室内に侵入しないように対策を講じておくべきです。
北日本では積雪によって家屋が倒壊することを避けるために「雪下ろし」をすることが一般的です。
もともと豪雪地帯の家は柱が太めに作ってあるなど、雪の重みに耐えうるだけの構造を持っていますが、あくまで柱や屋根が健全な状態になっていることが前提です。
もし、私たちが気付かないまま雪の重みに耐えうる状態でない空き家があった場合、思わぬ大雪で屋根が抜け落ちてしまう場合だってあるのです。
意外ですが、雪はかなり重いものです。降っているときは風に舞って軽そうに見えますが、実際には水分を含んだ氷の塊のようなものですから、積もっていくとどんどん重みは増しますし、寒さで凍結すればますます重さは増してしまいます。
特に雪下ろしが日常茶飯事の地域にある空き家の場合は、雪が降る季節の前に屋根の耐久度は必ず確認しておく方がよさそうです。
屋根や屋根瓦は、突発的な災害がなければ破損することは少ないのですが、経年劣化などで自然に破損する可能性もあります。
やはり、空き家といえども屋根や屋根瓦の破損を防ぐには一定のメンテナンスが必要です。
屋根や屋根瓦にひび割れやずれなどの破損がないかを確認するのが日々のメンテナンスです。
日々といっても毎日屋根に登る必要はありませんが、大雨や台風の後などには必ず登って目視で確認をする方がいいでしょう。
住宅メーカーや工務店、建具店、リフォーム業者が該当します。技術を持っていれば便利屋でも依頼することは可能です。
自分でやれなくはないですが、屋根に登るときに必要なはしごなどは自前で用意しなくてはなりません。そもそも高所での作業は危険を伴うので素人が屋根に登ることはお勧めできません。
3LDK2階建て・坪数30坪~35坪の洋風住宅の場合、1m×1m程度のパネルを交換する場合には、工賃込みで10万円程度、瓦を同じ範囲だけ吹き替えた場合には瓦代込みで20万円程度の費用が掛かります。
また、屋根に塗料だけを塗布する場合、3LDK2階建て・坪数30坪~35坪の洋風住宅であれば100万円~120万円程度の費用がかかります。
もし、屋根材や瓦を支える屋根板が破損していた場合には屋根そのものをリフォームする必要も出てきます。
複数個所の屋根や屋根瓦が破損している場合は、一度にすべての屋根を修理する方が安価になる場合もあります。
いわゆる「屋根のリフォーム」ですが、すでに雨漏りなどが激しくなっている場合は速やかに着手した方がいいかもしれません。
住宅メーカーや工務店、建具店、リフォーム業者が該当します。技術を持っていれば便利屋でも依頼することは可能です。
屋根のリフォームは自力でやろうとするのは正直言って無理でしょう。業者が行うリフォームでも足場を組んで2週間程度かけて行っていますから、足場の確保から考えてみると素人でやれるようなことではないと思います。
3LDK2階建て・坪数30坪~35坪の洋風住宅の場合、すべての屋根をふき替えると平均的に150万円~250万円程度の費用が掛かります。
また、足場を組む場合には足場設置費用が別途20万~30万円程度加算されるので、最低でも180万円、200万円弱の費用が掛かると考えておくとよいでしょう。
ちなみに、屋根や屋根瓦が壊れるのはどのような原因であるかを考えたことはあるでしょうか。
いわゆる天災以外にも、様々な要因で屋根や屋根瓦は壊れる要因はあります。要因によっては関係機関に相談する必要もあるでしょう。
屋根の耐久年数は材質によって様々ですが、洋風建築に多いスレート屋根の場合は長くて25年、日本建築の瓦葺きの場合は100年と、材質によって耐久年数は大きく変わります。
特にスレート屋根の場合は、メンテナンスが8年程度したら必要になると言われており、スレートそのものの交換やスレートに塗布している塗料の塗り替えが必要になってきます。
材質によってある程度の期間が経過すれば点検を要する場合もあることから、それを放置したままになっていると経年劣化が深刻になると思われます。
また、猛暑や極寒など、温度差の激しい気候になるとその分屋根材や瓦は伸縮を繰り返すので、思ったより劣化が進む場合もあり得ます。
屋根や屋根瓦に対して外部の衝撃が生じるとすれば、次のことが考えられます。
これらのことは予測できない場合も多く、起きてしまった後に速やかに対応するしか方法はありません。あわせて、周辺の民家に被害を与えていないかどうかは確認する必要があります。
なお、火災保険に入っていれば風水害に対応する特約が使える場合もあり、修理費用などは保険金で補填してもらえる可能性もあります。
これは特約の中で「水災」という項目があり、これに加入していれば竜巻や豪雨などの損害に対して補償してもらえる定めがあるからです。まずは今加入している火災保険の内容を確認するところから始めましょう。
火災保険にもうすでに加入されているのであれば、保険請求をサポートしてくれるサポートもあるので、保険が使えるか不安な方は訪ねてみるとよいでしょう。
『火災保険の教科書』は、面倒な申請から見積もりまでサポートしてくれます。6,000件以上の保険を受領した実績があり、精度の高い査定がとても評判です。
日本全国対応可能。現地調査・見積もりは無料。
屋根・外壁・雨戸やエアコンなど損傷があるような場合は『火災保険の教科書』へ相談することをおすすめします。
実際のところ、屋根や屋根瓦の破損は修理するべきなのでしょうか。
空き家によっては解体する予定があったり、売却や賃貸物件として用いる予定があるなど、様々な計画があると思います。
それでも、空き家を財産として考えている限りは、財産としての価値を維持するために生じている破損は修繕すべきではないでしょうか。
実際、空き家の持ち主としては「ここが空き家である」ことを知られたくない場合もあるでしょう。
その場合は、屋根の破損を放置している=人が積極的に管理していない住宅、と考えられると空き家であることがばれてしまうので、速やかに修繕するべきです。
また、将来的に売却や賃貸物件として活用する場合には、住める状態であることが重要になってくるので屋根の修繕も積極的に行うべきでしょう。
屋根や屋根瓦がすべて吹き飛んでしまうことは、台風や竜巻などによる強烈な突風に襲われた時にはあり得ることです。
この場合、屋根のすべてが無くなってしまっているのですから壊れた部分だけを直すと言うよりは建物を根本から建て直した方が安い場合もあります。
それに、屋根が無くなるということは建物そのもの耐久度も低下しているため、その後の何気ない強風や地震などで建物全体が倒壊するリスクは格段に高まります。
あまりにも危険な状態を放置していると自治体が「特定空き家」に指定して、持ち主に対して法的な指導力のある指導や勧告を行う場合もあるので、速やかに対応することをお勧めします。
今まではあなた自身が被害を訴えられる立場のことを解説してきましたが、逆に被害を受けた場合はどのようにすればいいのでしょうか。
実際、住宅街の場合は両隣が空き家になってしまうケースが多くなっていますから、この機会に知っておいても損はありません。
空き家の管理者がわかる場合は、問題が起きても相談先がわかることはもちろん、何か問題が起きそうなときには前もって相談することができます。
具体的には、次のような部分に十分注意しておきましょう。
空き家の持ち主や管理している会社などがわかる場合は、地震が損害を被ったことを速やかに主張しなくてはなりません。
この時、空き家の管理者が損害賠償保険に加入している場合は保険会社が間に入って弁償について協議してもらえますが、そうでない場合は空き家の管理者と直接弁償について話をしなくてはなりません。
この時、弁償の内容はもちろんですが今後同様のことがないように依頼しておくことは忘れないでください。
被害を申し出るときには、実際の状況や落ちてきた屋根の一部など「物証」を必ず手元に持っておきましょう。
まず、スマートフォンなどで写真を撮ることはもちろん、実際に落ちてきた屋根の一部などを保管しておき相手や保険会社に提示できるようにしておきましょう。
空き家の屋根がめくれあがっていたり、屋根瓦がずれているのを見つけた時は速やかに管理者に相談しましょう。
実際、何か強風でも吹けば、さらに屋根が破損して部品などがこちらに飛散してきて自分たちの財産を傷つけられるかもしれないですし、管理者は毎日空き家の状態を把握しているわけでもないのでなおさらです。
相談することがはばかられるかもしれませんが、率直に「自分たちの財産を守りたい」と理由を述べ、管理者に対策を依頼することです。
それでも、なかなかこちらからの要望に応えてくれないときは、自己防衛の意味も込めて隣家の空き家の破損状況を写真などで記録しておきましょう。
もし万が一、自分の財産に実害を被った時には「以前からこの状態を改善して欲しいといっていた」と、隣人として持っている権利を主張することができるからです。
この場合、実際に被害を受けた場所を撮影したり破損した部品を保管しておくことと同時に、空き家の管理者を探すことも同時に始めましょう。
普段からお付き合いがあって連絡先や管理者の名前を知っていればスムーズでしょうが、それすら手掛かりがない場合は自ら法務局に出向くことも考えましょう。
法務局に行くと「全部事項証明書」を取得すれば、当該住宅の所有者を確認することができます。住宅の所有者がわかった時点で自治体の空き家対策担当課に相談して対応を依頼することも考慮に入れましょう。
なお、全部事項証明書は以下のホームページを経由すればインターネット経由で入手することもできるのでぜひ活用しましょう。
空き家をできる限り財産として維持するためには、適切なメンテナンスと日常の管理がポイントになります。
特に屋根と屋根瓦は、その機能が不十分であれば空き家そのものが劣化して倒壊などの危険性も高まります。
毎日空き家にきて屋根を点検するわけにはいきませんが、台風が過ぎ去った跡や大雪の後など、屋根に負担や破損が生じている可能性が高い時には、ぜひ空き家を訪れて確認をされることをお勧めします。
自分で訪れる時間がとりづらい場合は、空き家の管理を請け負う専門業者や警備会社などと契約しておき、適宜点検作業を行ってもらうこともおすすめです。
また、越境に関しては「何をいまさら」と思うタイミングで苦情を申し出てこられる場合もありますが、裁判に持ち込また場合も現実的な妥協点を見出されて終わりになることが多いので、そんなに恐れなくても問題はありません。
越境の場合、自分の主張すべきことは主張し、屋根を切るなどの改善策がナンセンスな場合はきっぱりと断り、代替案を提案して妥協に持ち込むのがよいでしょう。
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